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「黄綬褒章」受章 (弊社社員・久多良 弘)

2013/11/13 受賞

※2015年2月1日(日)TBS「がっちりマンデー!!」にて紹介されました。

弊社社員(岩手工場)の久多良 弘が、46年間に及ぶ鋏製造の技能の卓越性を認められ、平成25年度秋の黄綬褒章を受章、11月13日に皇居にて褒章伝達式が行われました。黄綬褒章は「業務に精励し民衆の模範である者」に国より授与されるものです。

[受章者について]
氏名:久多良 弘 (くだら ひろし)
出身地:岩手県
職種名:金属手仕上げ工
1967年 株式会社 東光舎 入社
2009年 『岩手県卓越技能者表彰』 受賞
2011年 厚生労働者『現代の名工表彰』 受賞
2013年 黄綬褒章 受章

[久多良 弘 の技(再掲)]

1.鋏の研ぎ及び最終調整の技
鋏は二枚の刃から成り立っているため、ナイフや包丁のように鋭利な刃先を付けることに加えて、隙間(刃先端の連なり=刃線の三次元形状が作る刃と刃との間隙)を精密に調整出来ない限り良い切れ味は実現できません。

まず、鋭利な刃先を作り上げるためには研磨による表面の加工時に発生するバリの除去が重要になります。刃先端の断面は約0.5μm(ミクロン=1000分の1ミリ)の半径の円の一部となりますが、不要なバリが残ることによって切れ味は損なわれます。このバリを表面、裏面から交互に研磨を繰り返すことにより微小化し最終的に完全に脱落させることが重要です。

次に隙間の調整は、刃先と触点とを結ぶ線に対する刃先端の軌跡をハンマや矯木(ためぎ)を用いて鋏体を変形させることで行ないます。この仕上がり精度は最大値で±10μm(ミクロン)以下で、これを超えると敏感なプロの理美容師のお客様からのクレームにつながるため特に細心の注意が必要になります。
久多良は、以上のような鋏の研ぎ及び最終調整の技能に精通しており、現在はお客様から寄せられる修理品の再研磨を行っています。修理品はロットで流れる製品(工程品)とは異なり一丁一丁がそれぞれの別個の状態にあります。修理品の再研磨には十分な知識と経験とが必要ですが、久多良は、月間1,000丁前後の修理品の再研磨を行ない、お客様の信頼を得ています。

2.鋏の手裏スキの技
研ぎ及び最終調整の前の工程として、裏スキ工程があります。裏スキ工程は直径200mm程度の砥石を使用して刃の裏面に刃線の三次元形状に沿った浅い溝を加工する工程で、鋏の切れ味を左右する重要な工程です。この加工は難易度が非常に高く、製品の製造工程においては機械化されています。
しかし、久多良の担当する修理部門においてはそれぞれ異なる状態の鋏が任せられるため、機械での対応は不可能で、久多良は、この裏スキ加工を安定した状態で手作業によって行うことが出来る日本でも数少ない技能者の一人です。

3.カーブシザーの加工方法の考案と安定化
カーブシザーは、刃が反り上がったような形状をしており、美容のカット技術におけるスライドカットやストロークカットに使用されるものです。鋏の切れ味を安定させるためには隙間を厳密に調整する必要がありますが、カーブシザーは鋏自体が反っているため、通常のように隙間を平面のゲージにて観察することが出来ないため製造の難易度が非常に高くなります。

久多良はこの作業に精通し、また独自のアイデアからカーブシザー用の隙間確認用ゲージを開発、カーブシザー加工方法の確立と品質の安定化に高く貢献しました。